「ボランティアではダメ」な理由ービジネスこそが世界を変える

もしも同じ活動をしている二人の人がいて、一人は見返りを受け取らないボランティアとして、もう一人はビジネスとしてその活動を行っていたら、あなたはどちらに好感を持ちますか?

日本人は、お金儲けを嫌うと言われます。お金を受け取らないボランティアに励む人と、お金を稼ぐビジネスに励む人がいたら、前者の方が素晴らしいと考えられることが多い社会です。

しかし、以前の記事にも書いた「株式会社ユーグレナ」の創立者・出雲充さんの著書を読むと、そのような考え方に対して疑問が湧き上がってきます。

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「無償で与える国連」にできなかったこと

出雲さんはかつて、貧困を解決するために国連に就職することを考えていたそうです。そして大学生時代にバングラデシュを訪れ、現地で貧困層を対象にマイクロファイナンス(少額融資)事業を行う「グラミン銀行」でのインターンに参加しました。

グラミン銀行とは、バングラデシュでムハマド・ユヌス氏という人が設立した銀行で、何世代にも渡る貧困の連鎖を断ち切るため、貧しい人々に5ドルや10ドルといった少額を融資する事業を行っています。

融資後は、借り手たちに雑貨店や食料品店などのスモールビジネスを始めてもらい、利子を乗せた返済をしてもらいながら、彼らの自立を促します。グラミン銀行の取り組みについては、下記のサイトに詳しく書かれています。

グラミン銀行は、ムハマド・ユヌスがバングラディシュで設立した。貧困層へマイクロファイナンス事業を行うが、慈善団体ではなく利益も追求され、金利も年20%取っている。

グラミン銀行のビジネスモデルは世界中から評価され、2006年にノーベル平和賞を受賞しています。出雲さんは、ちょうどグラミン銀行の事業によって人々が次々に自立し豊かになっていった時期にインターンに訪れ、その仕組みに衝撃を受けたと言います。(以下引用、太字は私によります)

グラミンはビジネスとして貧困層にお金を貸している。だがすごく貧乏な人にとって、5ドルや10ドルとはいえ、そのお金を返すのはたいへんなはずだ。

それなのにみんな『グラミン銀行のおかげだ』とすごく喜んで、ちゃんと利子をつけて返済している。実際、グラミン銀行が融資したお金で始めたスモールビジネスで、彼らは食料はもちろん携帯電話のようなものまで手に入れて、豊かになりつつある。

一方で国連はどうだろう?食料や水をぜんぶタダで提供しているのに、人々の飢えや栄養不足を改善できていない

出雲さんは、国連が行っている様々な有意義な支援活動や、食糧支援という分野独特の難しさにも言及しながらも、「このまま国連に就職して働いても、問題解決は困難」と判断し、目標としていた国連への就職を考え直します。

与えるだけではうまくいかない

早稲田大学在学中に株式会社リブセンスを設立した若手起業家・村上太一さんも、ビジネスが持つ可能性について、インタビューで次のように語っています。

ビジネスって、社会を最適化する一番のものじゃないかと思います。

濁った水をきれいな水に変える浄化剤を提供する日本ポリグルという会社があります。その会社の会長がソマリアに寄付で浄水装置をつくったのですが、一年後にいくと、蛇口が壊れていたりしてうまくいかなかったそうです。そこで寄付じゃなくビジネスにしたところ、警備する人や売り歩く人が現れて、普及していったとか。

ビジネスこそが世界を変える

このような例を見ると、持続的に社会を良い方向に変えていくためには、無償で与えるだけのボランティアではなかなか難しい面があるのではないかと感じます。

寄付や無償での支援も、災害時の緊急支援などであれば非常に大きな意味があるでしょう。けれど、持続的に状況を良くしていこうと思ったら、それだけではいけないのかもしれません。

ひとたびビジネスに目を向けてみると、そこには大きな可能性があるように思えます。ただ与えられ援助されるのではなくビジネスの主体となれば、長期的な計画を立てたり、より多くの価値を生み出すために工夫したりといった、生きる上で重要なあらゆる能力が磨かれるのではないでしょうか。

貧困に苦しむ人たちに提供するべきなのは、パンや水だけではなくビジネスに参加する機会であり、それを実行したのがグラミン銀行だったのだと思います。

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