ライフワークとライスワークを分けるということ

やりたいことをして生きていきたいというのは、多くの人の願いです。でも、それがたいてい叶わぬ願いのままであるのは、「やりたいことを仕事にして、かつ食べて行く」ことが難しいから。

そんな悩める現代人に対して、ジャーナリストの白河桃子先生は、著書で「ライスワーク(食べるための仕事)とライフワーク(生涯かけてやりたいこと)は必ずしも一致しなくてもいい」とアドバイスしています。

白河先生が取材したある女性は就活の末に、多忙になると分かっている一流企業と、一流企業ではないがそれほど激務ではない企業の両方から内定を得たそうです。悩んだ結果、彼女は後者に就職。プライベートの時間を使って、やりたいことだった社会貢献のNPOの手伝いをしているのだそうです。

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諦めるのではなく、ひとまず分ける

この、「ライフワークとライスワークを分ける」という考え方、「やりたいことを仕事にするのを諦める」ということとは違います。

組織開発やコーチングの専門家である榎本英剛さんも、著書『本当の仕事 自分に嘘をつかない生き方・働き方』でこのことを書いています。

多くの人がやりたくない仕事をして食べて行くか、やりたい仕事をして貧乏になるかの二択しかないと思っている。確かにやりたい仕事をして食べて行こうとすると、それなりに時間がかかる。この「時間」という要素を考慮に入れた上で、「現実的に第3の道を追求するための方法」が「複職」という発想であり、「やりたい仕事」と「生計を立てるための仕事」を分けて考えるということである、と。

アメリカでは特にやりたいわけではないけれど、生計を立てるためにやむなくやる仕事のことを「タクシー・ジョブ」と言います。なぜそう呼ぶかというと、そういう仕事として実際にタクシーの運転手を選ぶ人が多いということと、目的地に着くまで自分を乗せていってくれる仕事という2つの意味があるからです。

タクシー・ジョブに適した仕事としては、何時から何時まで働くかという勤務時間がはっきり決まっていて、いつ働くかという時間的自由が比較的きくものが挙げられます。

この本にはレストランのウェイターや電話のオペレーターなどでとりあえずの生計を立て、空いた時間でやりたいことに取り組む例が挙げられており、榎本さんは「時間的な制約はかなりあるかもしれませんが、やりたい方の仕事に費やせる時間はほんの少しでも構わないし、最初はそこから収入を得る必要もない」と言います。

時代は間違いなくその方向へ進んでいく

上記の「タクシー・ジョブに適した仕事の条件」は、つまり「残業がなく、勤務時間を自分で選べる」ということ、すなわち「フルタイムで働かず、非正規で働く」ということに思えます。
日本では問題視されることが多い非正規労働。でも、先日下記のエントリに書いたように、オランダでは派遣労働者の労働条件を改善したところ、ワークシェアリングが進み、国民の半分以上がパートタイム労働者になった一方で失業率は大きく低下するなど、社会全体が良い方向に進んだそうです。

日本と同じだった状況から、非正規労働者が安心して働ける社会を作り上げたオランダのストーリー
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日本でパートタイム労働が主流になるには、不十分な保障内容など、まだ様々な問題がありそうです。それでも、長時間労働の是正など、1つの仕事に人生のすべての時間をとられるという状況を変えようとする動きは進んでいます。その結果生まれた少しの時間で、ライスワークとは別にライフワークに取り組むことができる人が、すでに少しずつ増えてきています。

「人生をかけて仕事に取り組む」「仕事に生きがいを感じる」のもいいけれど、今の仕事にそこまでの熱意を持てないという人は、「これは食べるためのライスワーク、こっちが生涯かけてやりたいライフワーク」と割り切った働き方をするのも、立派な生き方だと思います。

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