日本と同じだった状況から、非正規労働者が安心して働ける社会を作り上げたオランダのストーリー

先日、福岡県のイベント「グローバルステージFUKUOKA ~世界で活躍する福岡県人~」第7回セミナーに参加して参りました。演題は、「子どもたちが世界でいちばん幸せを感じる国・オランダのひみつ」。

講演では、ユニセフの子ども幸福度調査で2回連続1位となったオランダでの子育て・教育を中心としたオランダ社会の在り方について、福岡出身・オランダ在住で2児の子育て中の日本人女性・米良好恵さんから、興味深いお話をたくさん聴くことができました。

特に印象に残ったのが、次の2つ。

  1. オランダではパートタイマーとして働く人がとても多い
  2. 子育ては「お母さんの幸せ」ありき

この2点について、それぞれ記事にしたいと思います。パート1の本記事では、オランダではパートタイマーとして働く人が多いということについて。

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オランダ人は半分以上が非正規労働者

講演では、「オランダでは警察官などの公務員も含めて、パートタイマーとして働いている人が多く、ワークシェアリングが進んでいる」というお話がありました。

調べてみたところ、オランダでは全従業員の50%以上、女性については75%以上がパートタイムで働いているとのことです。このような状況となった背景についてさらに調べてみると、とても興味深いことがわかりました。

行き詰まりの状況から、労働改革へ

オランダでは1980年代から、国際競争力強化のために「使い捨てできる低コストな労働力」である非正規労働者が増やされたそうです。

その結果、彼らの労働環境が悪化し、派遣社員の賃金が低すぎるために、正社員の賃金まで下がりかねない
という状況に。大きな社会問題となりました。(ここまで、近年の日本の状況と同じ!)

様々な議論を経て、1998年「フレキシビリティー&セキュリティー法」が制定され、以下のことが定められました。

  1. 正社員であろうと非正規雇用者であろうと、同じ仕事に対しては同じ賃金が支払われる。
  2. 企業が負担して、非正規雇用者に職業訓練の機会を与える。
  3. 失業時には最大3年間、失業保険が給付され、給与の70%を支払う。

その結果、オランダでは

  1. パートタイム労働者が1983年の100万人から2009年の200万人へ、約3倍に増加。一方で失業率は14%から3%へ大幅に低下。これは日本の5%、ドイツの7.7%を下回る水準。
  2. 以前は派遣社員とは「やむを得ずなるもの」だったが、選択的に派遣社員になる人が増えるように
  3. 特に若者には、まずは派遣社員として、セーフティネットの十分整った環境で様々な仕事の経験を積むという人が多くなった。

オランダでは、週3日だけ働き、4日休むパートタイムの警察官といった働き方の選択肢があるそうです。講師の米良さんは、「オランダでは、週の半分はパパが仕事、もう半分はママが仕事というように夫婦が交互に働くことで、子育ても分担することが可能になっている」とおっしゃっていました。親の負担を軽くするワークシェアリングの普及が、世界一の子どもの幸福度にもつながっているんですね。

負担なくして給付なし

オランダの背景について調べていて興味深かったことは、「労働者への手厚い保障を実現するため、企業だけでなく、国民も負担を引き受けることに合意した」という点でした。

オランダでは消費税は19%(食料品等は6%)、所得税と社会保険料を合わせた世帯当たりの負担額は日本の約2倍とのこと。また、2008年10月には、不況による企業側からの要請に応えて、労働者側が賃金抑制を受け入れたということです。

このような合意の背景には、「給料が少しくらい減っても、大勢の人が失業するよりはいい」「全体の労働環境の改善のためには、税負担もやむを得ない。社会の一員として当然の義務である」という国民の意識があります。

日本では、社会問題があると「国がなんとかしろ!」「政府が対策を講じるべき!」という意見がよく聞かれます。「このままでは日本はダメだ」と、半ば自虐的に言う日本人も多くいます。

でも、「日本とは何か?」と考えると、それは日本人の集まりなのです。それは私たちなのです。「日本はダメだ」と言っている人は、「私たちはダメだ」と言っていることになるのです。

社会起業家の駒崎弘樹さんは、次のように言っています。

僕は島耕作にだけはなるまいと誓ったんです。

(中略)彼は自分の住む地域社会には関心がないけれど、「このままでは日本はダメ。サムスンに負けてしまう」みたいに、大文字の日本を語るのは好きなんです。

(中略)何か変えようとするなら、その対象に触れないといけないはずです。でも、典型的知識人にはそれが足りなくて、概念としての日本を語って満足しているように見えます。

「このままでは、私たちはダメだ」ということに気づけたのならば、変えたい対象について知り、行動しなければならない。国や企業に何かを求めるのならば、同時に私たち国民は負担を分かち合う覚悟も持たなければならない。自戒を込めて、そう思いました。

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