お土産を配る会社員は「罪悪感」をまとっている

熊谷徹著『日本とドイツ ふたつの「戦後」』という本を読みました。
日本とドイツの共通点と相違点について、ドイツに住んで25年の著者が「移民政策」「雇用・労働」「過去の戦争責任に対する姿勢」などを軸に論じており、大変興味深いです。

本書で著者は、「日独間の有給消化率の違い」に言及しています。2012年に行われた調査によると、日本の有給休暇の消化率は38%で、ドイツでは93%だったそうです。続けて著者は次のように述べています。

私が知り合いのドイツ人たちを見ている限り、管理職を除けば、有給休暇を全部取らないという人は、めったにいない。全員が交代で休むのでねたみは起きないし、旅行先からお土産を買ってきて同僚に配る必要もない。

この指摘を読んで、私はある光景を思い出しました。それは、会社員時代にしばしば目にした、「ペコペコとお辞儀をしながら同僚に旅行先のお土産を配って回る社員」の姿です。

私は在職中に旅行らしい旅行はしなかったのですが、他の社員たちは皆、実家への帰省や旅行のたびにお菓子などを買ってきて、部署のメンバーに配っていました。

会社員になる前は、このような「お土産文化」に対して特に疑問を感じることはありませんでした。中学生や高校生のとき、クラスの誰かがディズニーランドのお土産のお菓子を配ってくれると素直に嬉しかったし、「どうだった?楽しかった?」と会話にも花が咲いて楽しいものでした。

けれど、会社での「お土産配布」は学生のそれとは何だか違う。あの変な感じは何だろう。

考えてみたところ、辿り着いたのは、お土産を配る人が「罪悪感」をまとっているということでした。

お土産を配る会社員の学生と違うところは、「旅行いってきた!楽しかったよー!!」という感じがないこと。むしろどことなく申し訳なさそうで、肩身が狭そう。

その雰囲気から察するに、旅行に行って楽しんできた会社員は、「自分だけ遊んできて申し訳ない」「他の人が仕事をしているときに、有給を取って旅行に行かせていただいて、申し訳ない」という思いがどこかにあって、まるで「せめてもの罪滅ぼし」のような感じで「つまらないものですが」とお土産を献上して回っている…。そんなふうに見えることがあるのです。

もし日本でも有給消化率が高くなって、お土産文化がなくなったらと思うと、少し寂しい気もします。でも、確実に人数分あるように気をつけなければならず、それぞれの好みもよくわからない「会社へのおみやげ選び」は、正直かなりおっくうであるのも事実。

何はともあれ、会社員たちもディズニーランド帰りの子どものように、「楽しかったよ!」という幸せオーラを全開にしてお土産を配れるようになったら、お土産のお菓子はもっとおいしく感じられるようになるかもしれないなと思います。

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