Wikipedia日英記事比較でわかる、日本人が英語を勉強するべき理由

過去の記事にも書いたように、私は現在英語を勉強中です。

以前は「英語ができれば仕事探しで有利になるし、外国人と英語でコミュニケーションがとれたら楽しそうだな」ぐらいの気持ちで、勉強をしていました。

でも現在の勉強のモチベーションは、ちょっと違ったものになっています。

ある経験から私は、「情報の受発信が日本語でしかできない」ということがどういうことなのかが分かって、危機感を持ったのです。

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ローヤルゼリー vs. Royal jelly

私は、会話とリスニングの勉強のために、Podcast番組「バイリンガルニュース」を毎日聴いています。

Michael & Mamiの「バイリンガルニュース (Bilingual News)」の過去エピソードを無料ダウンロード、または今後のエピソードを無料登録。

バイリンガルニュースは、日本語と英語のバイリンガルであるMamiとMichaelが、日本語と英語を混在させた会話で世界のニュースを紹介するという内容の無料Podcast番組です。

台本なしのリアルな会話が聴けること、日本では報道されない世界のニュースについて知ることができること、そして何より明るく好奇心旺盛なMamiちゃんとクールで知的なMichaelのキャラクターがとても魅力的で、2013年の配信開始以来、世界中にたくさんのファンがいます。

その第159回のエピソードで、二人が「同じものに関する情報でも、日本語のものと英語のものとでは内容が全く異なることがある」という話をしていました。

また、各言語版のウィキペディアで「よく編集されている記事」のランキングを見ると、日本語版には他の言語とは異なる特徴があるということも話題にしていました。

興味を引かれたので、それぞれについて確かめてみることにしました。

まず、Michaelが言っていた「日英語版ウィキペディアにおける“ローヤルゼリー”に関する記事の違い」を確かめるために、ウィキペディアの当該記事を読んでみました。

上記の日本語版の「ローヤルゼリー」に関するページを見てみると、確かにMichaelが言っていた通り、肩凝り・冷え症・高血圧など、日本人に多いあらゆる症状を改善させる可能性について書かれています。

次に、英語版Wikipediaの”Royal jelly”の説明を見てみました。

こちらにも「Uses(効用)」の項目はありますが、日本語版と内容は異なり、以下の数行しかありません。

Royal jelly is collected and sold as a dietary supplement for humans, but the European Food Safety Authority has concluded that the current evidence does not support consuming royal jelly will give health benefits in humans. In the United States the Food and Drug Administration has taken legal action against companies that have used unfounded claims of health benefits to market royal jelly products.

訳:ローヤルゼリーは健康補助食品として販売されているが、EFSA(欧州食品安全機関)はローヤルゼリーの摂取が人間の健康を増進するという証拠は示されていないと結論付けている。米国では、FDA(アメリカ食品医薬品局)がローヤルゼリー製品の販売のために根拠のない主張を行った企業に対して法的措置を取っている。

英語版の記事を読むと、ローヤルゼリーとは「何だか怪しげなもの」という印象を持ちそうです。

ついでに逆のパターンについても調べてみようと思い、今度は「テストステロン」についての記事を見てみました。

テストステロンとは男性ホルモンの一種で、アメリカでは「女性からモテるために重要なホルモン」として、もてはやされているのだそうです。「バイリンガルニュース」を聴いていると、たびたび登場します。でも、日本ではあまり聞きませんね。

日本語版ウィキペディアで「テストステロン」の記事を見てみると、成分や作用、関連する研究報告などについて書かれていました。2000文字ほどで、ウィキペディアの項目としては割と短めの記事になっています。

一方、英語版の記事を見てみると…

非常に長くて驚きました(笑)。スクロールしてもなかなか最下部に到達できません。いかに英語人がTestosteroneに興味を寄せているのかが窺い知れます。

バイリンガルニュースのMamiちゃんは、「国によって有名な成分は違う」とも言っていました。日本ではローヤルゼリーやコラーゲンなどがとても有名ですが、海外の人々が関心を寄せるのはグルテンだったり、テストステロンだったり…。

「人気の成分」は場所によって全く異なる。「効果がある」として推されているものは、「良いもの」というより「そこで良いとされているもの」。効果を期待して物を買うときには、このことを意識していなければいけないなと思いました。

ここまでの結論。確かに、同じものでも、日本語による情報と英語による情報は違っていました。

「よく編集されている記事」の日英比較

次に、日本語版と英語版Wikipediaにおける「よく編集されている記事」の違いを見てみました。

今度は英語版から見てみたいと思います。

(※このページは随時更新されているようで、みなさんが閲覧する際には内容が変わっている可能性があります。今回は2016年1月11日12時39分に更新されたデータを見ています。)

第1位はジョージ・W・ブッシュ元大統領。第2位は「WWEに所属する人物一覧」。WWEとはアメリカのプロレス団体だそうです。

その後も「カトリック教会」や「Jesus」「バラク・オバマ」「アドルフ・ヒトラー」「第二次世界大戦」などの政治・宗教に関する項目が多く、

5位の「マイケル・ジャクソン」、

8位の「ABS-CBN放送の番組一覧」、

11位の「ブリトニー・スピアーズ」、

14位の「ビートルズ」

あたりは芸能・エンタメカテゴリと言えそうです。

続いて日本語版の、「版の多いページ」。こちらは2016年1月11日3時45分に更新されたデータです。

一目見て英語版とは全く異なるジャンルの項目ばかりが並んでいることがわかります。第1位から20位まで、ほぼすべてが「アニメ・漫画・アイドル・テレビ番組」の関連項目です。

10位の「新日本プロレス」、29位の「読売ジャイアンツ」のようなスポーツ関連項目もありますが、政治系の項目は36位の「石原慎太郎」でようやく登場していました。そして37位以降も、総じてエンタメ項目ばかり。英語版とは目を見張るほどの対比です。

日本語使用者と英語使用者の間でWikipediaの利用者層自体が違っているなどの可能性もあるので、安易に直接比較して「日本人はアニメ・漫画・テレビのことばかり考えている」と結論付けることはできませんが、日本人の一つの側面を表すものでしょう。

そしてMichaelは、「日本語による情報には、根拠に欠けるものが多い気がする」と言います。

それはなぜなのか?両言語の使用者の数や分布を考えると、それも単なる気のせいではないだろうと思えてきます。

各言語の情報の信頼性を決定づけるのは、「発信者の多様性」

Michaelは、「英語による情報には様々な国の人が関与するが、日本語の情報に関わるのは日本人だけである」と続けます。

確かに、英語の情報は、アメリカ人もイギリス人もカナダ人も、オーストラリア人もインド人も香港人も受発信します。

仮にどこかの国の人物が、自国でしか通用しないことをさも普遍的な事実であるかのように書いて発信したとしても、他の国の人がその情報を修正してくれる可能性があります。

でも、日本語の情報を受発信するのは、世界中でほぼ日本人だけです。

情報の信頼性においては、「多様な人がチェックしているか」「偏った立場の人だけの意見になっていないか」が重要です。

根拠に欠ける情報や、偏った情報、日本でしか通用しない情報が流通しても、それが日本語で書かれている限り、外部から突っ込んでくれる人がいないために、修正されることなく広まってしまう危険性が英語と比べて圧倒的に高い。

英語と日本語の使用者数に圧倒的な差があることは、情報の質だけでなく、そもそも求める情報があるかどうかということにも差があることを意味します。

SEとして働いていたとき、コードのどこにミスがあるのか分からず、ウェブ上を日本語で検索しても解決策が見つからなくて困ったことがありました。しかし、英語で検索してみたところ、あっさりと求めていた情報が見つかりました。日本語しか使えないと、世界ではすでに答えが出ていることに、悩み続けてしまったりもするのです。

このようなことを考えてから、私は英語学習に対するモチベーションを新たにしました。就活で有利だからとか旅行のときに使えると便利だなどという理由ではなく、私は、日英両言語の「情報」の違いを思うと日本語だけの世界で生きることには危機感を持たずにいられないので、英語を勉強したいのです。

今まで「自分はWorld Wide Webを利用して、瞬時に世界中の情報にアクセスできる世界に住んでいる!」と思っていました。けれど、日本語で検索している限り決してworldwideではないのです。そのことに気づくことができて、本当によかったと思います。

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