TABMATE使いがTourBox Eliteを試してみた!良い所と残念な所

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イラストレーターのYukiです。

絵を描くときの左手デバイスとして長年CLIP STUDIO TABMATEを使ってきましたが、タブメイトにはいくつか気になる点もあり、比較のためにTourBox Eliteを購入してみました。

タブメイトユーザーがTourBox Eliteを使ってみて感じた良い点&悪い点をまとめてみます。

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タブメイトの問題点

タブメイトはセルシス社が提供するお絵かきソフトCLIP STUDIO PAINT専用の左手デバイスです。

CLIP STUDIO TABMATE | CLIP STUDIO
Android端末でも利用できる片手入力デバイス CLIP STUDIO TABMATEは、ペンタブやタブレット端末と併用して快適にクリップスタジオペイントでイラストやマンガ、アニメーションの制作が行えます。
  • 握るタイプなので置き型に比べて自由な姿勢で使える
  • ボタンが多い(12個のボタン+ホイール1個)
  • 安い(通常価格7,000円、クリスタユーザーは優待価格で4,900円)

という良さがあり、もはや体の一部のような無くてはならない存在になっていました。

ただ、最近絵を描く時間がこれまで以上に長くなってきたことで、下記の点が気になるようになりました。

起動の操作がボタン長押し

タブメイトは無操作のまま10分が経過するとスリープモードになり、さらに20分が経過すると電源オフになります。

スリープ状態から復帰するにはいずれかのボタンを押すだけでいいのですが、電源がオフになると、オンにするためにはボタンを3秒長押しする必要があります。

たかが3秒でも、忙しいときには無視できないストレスになっていました。

長時間使うと親指が痛くなる

タブメイトは握って持つタイプの左手デバイスなので、多くのボタンを親指で押すことになります(上部と背面のボタンは人差し指と中指)。

これは「親指だけで多くの操作ができる」ということでもあり、これまでは問題に感じていなかったのですが、親指の同じ部分でひたすらボタンを押すため、一日に何時間も使っているとその部分に痛みが出てきました。

この問題が結構深刻で、痛みのせいで休憩しないといけないことも出てきたので、使う指をある程度分散させられそうなTourBox Eliteを試してみることにしました。

買ったもの:TourBox Elite トランスルーセント

購入したモデルはTourBox Elite、カラーはトランスルーセントという、半透明の黒っぽい色です。

カラーはほかにも白と黒があるのですが、店舗で実物を見たらどちらもかなり汚れが目立っていたので、一番汚れが目立たなそうな半透明にしました。

TourBox Eliteの良かったところ

色々なソフトで使える

タブメイトは本来クリスタ専用のデバイスなので、そのままではPhotoshopなど他のソフトで使えません。そのため私はUSB Overdriveというシェアウェアを使ってクリスタ以外でも使えるようにしています。

【Mac版】タブメイトをクリスタ以外で使う方法。USB Overdriveにタブメイトを認識させるには
イラスト制作の際に左手デバイスがあるとものすごく効率が上がります。左手デバイスとして断トツでおすすめなのがセルシス社の「タブメイト」です。 が、このタブメイトはクリスタ専用デバイスということになっており、イラレやフォトショなどクリスタ以外の...

TourBox Eliteはこういう面倒な作業をしなくても色々なソフトで使えるので、その点はタブメイトに比べて明らかなアドバンテージです。

起動がスムーズ

一定時間がたつとスリープ状態になるらしいのですが、ボタンを押すだけですぐに使えるので本当にスリープしているのか疑うレベルです。

(スリープ状態になっているかどうかの確認方法がわからない…)

「スリープから復帰したときにBluetooth接続が切れている」というレビューも見かけるのですが、私は今のところ大丈夫そうです。

無線接続も問題なかった

「Bluetooth接続は難があるので結局有線で使っている」というレビューが多かったので自分もそうなることを覚悟していたのですが、今のところBluetoothで問題なく使えて安心しています。

TourBox Eliteの残念だったところ

使ってみると色々と良くない点も見えてきました。

ボタンが少ない

まず大きな問題としてボタンが足りないです。タブメイトには12個のボタンがあるのに対し、TourBox Eliteは11個で1つ減ってしまいます。

TourBox Eliteには3つの回転式ダイヤルがあり、この3つもボタンのように押すことができますが、押し込みが固くてよく使う機能の割り当てには使いづらく、押下ボタンとしてはカウントできないと思いました。

「3つのダイヤルをビューの回転や拡大縮小などに割り当てられる」とされていますが、クリスタやPhotoshopで絵を描く人は、回転や拡大縮小はキー押し+ドラッグで行うのに慣れているのではないでしょうか。実際やってみても、これらの操作はダイヤルを回すよりドラッグでやった方が、微妙な調整がしやすい気がしました。

動画編集など別の用途だとダイヤルが複数あると便利なのかもしれませんが、絵を描く用途ではダイヤルよりもボタンが多く必要だと思います。

ダイヤルはブラシサイズ調整用の1つだけでいいので、ボタンがもっと多かったらなぁと思いました。

音が気になる

これは私が音に過敏なせいなのですが、ボタンを押したときの音がタブメイトよりも大きいのが気になります。十字ボタンなどの押下音は大したことないのですが、特にサイドボタンを押すとカチャッと結構な音がします…。

とはいえ、うるさいというほどではなく、キーボードのカチャカチャ音などが平気な人には問題にならないと思います。(むしろこういう音が好きという人もいそう)

私はカチャカチャ音のするキーボードがダメで、マウスも静音タイプを使っている超・音に過敏な人間です

ボタンの押下音については普通の人なら問題ないかと思うのですが…看過できないのがダイヤルを回転するときの音です。

TourBox Eliteには触覚フィードバックという機能があり、ダイヤルを回したときの抵抗感みたいなものを専用ソフト上で変更できます。この機能自体は素晴らしく、スルスルと抵抗ゼロで回転するより、1段階回すごとにカリカリと抵抗を感じる方が使いやすくて好みです。

ただ、この触覚フィードバックを有効にすると、触覚的に抵抗を感じるだけでなく回すたびに小さな音もします。触覚フィードバックは「弱」か「強」を選択できますが、特に「強」にすると私にはかなり耳障りでした。私は「弱」でも音が気になるので、結局触覚フィードバックはオフにしています。(オフにすれば、ダイヤルを回しても音はしません)

見た目がちょっと…?

個人的な好みのような話になってしまいますが、左右非対称でいびつな形にもちょっと疑問を感じてしまいました。

「人間工学的に最適な形!」とか「指がフィットする」というわけでもなく、なぜここが凹んでいて、なぜここが膨らんでいるのか、この形でなければならない理由がわからない…

デスクに常に置いておくものだし、結構値も張るので、もう少し見るたび「美しいなあ」と思うような形だったら嬉しかったかも。

高い

TourBox Eliteは白や黒のカラーで約4万円、トランスルーセントだと4万5千円(2023年10月時点)と、かなり高額と言わざるを得ません。

クリエイター向けの左手デバイスとしては

  • タブメイトが7,000円(クリスタユーザー向けの優待価格だと4,900円)
  • Wacom Express Key Remoteが約16,000円
  • Razer Tartarus Proが約16,000円
  • Orbital2が約3万円

といった選択肢がある中で、TourBox Eliteの4万円というのはかなり悩ましいです。

ボタンがたくさんある左手デバイスとしてはRazerのTartarusも魅力的です。実際に店舗で触ってみましたが、操作感もかなり良さそうでした。ちなみにTartarusは、有名絵師さんにも根強いファンがいながら今は廃盤になってしまったロジクールの左手デバイスG13の代替としても人気です。

それではなぜTartarusを買わなかったのかというと、

  • そのままではMacで使えない(ProではなくV2モデルならKarabiner-Elements経由で使えるとの情報あり)
  • TourBoxよりも大きくデスクのスペースを取る
  • ボタンのカチャカチャ音がする(←致命的)

といった理由からです。

Windowsユーザーで上記の点が問題ない場合は、ボタンが多い左手デバイスを買うならTartarusの方がいいかもしれません。

WacomのExpress Key Remoteはちょっとボタンが押しにくいのと、「手元を見ずに操作する」がやりづらそうなので選択肢から外してます…。

まとめ:問題もあるけど全体的にクオリティは高い

色々と気になる点を挙げましたが、ボタンやダイヤルの操作感、専用ソフトの使いやすさ、様々なキーの組み合わせやマクロも割り当てられる高機能性など、全体的にクオリティはとても高いと思います。

どうしても価格の高さがネックになってしまいますが、1万円台とかであれば迷わず全ての人におすすめと言えるアイテムでした…!

この値段だと趣味用途や予算が限られる場合には正直おすすめしづらいですが、「創作が仕事であり、その生産性を上げるためなら費用は惜しまない!」という人であれば、試してみる価値が十分あると思います。

タブメイトと比べると一長一短でどちらが上とは言いにくいですが、起動時に長押ししなくてよくなったのは明らかに便利です。

私の場合ボタンが足りないのがどうしてもネックで肝心のイラスト制作はまだタブメイトから完全移行できていないのですが、Live2Dなどほかのソフトで使って便利さを実感しています。

使い込めばもっとうまく活用できるかもしれないので、その際はまた記事でご紹介できたらと思います。